1. Q 1過活動膀胱の薬物療法について詳しく教えて下さい。

    A 1

    UUI(切迫性尿失禁)の原因となる過活動膀胱は、膀胱に尿をためる機能が何らかの原因によって障害されておこります。その原因としては、
    ①神経が原因と考えられるもの
    ②神経以外が原因と考えられるもの
    に分けられます。原因がはっきりしている場合もありますが、検査をしても異常が見つからないなど、原因がはっきりしない場合も多くあります。

  2. Q 2過活動膀胱になると、必ずUUI(切迫性尿失禁)がおきるんですか?

    A 2

    過活動膀胱なら必ずUUI(切迫性尿失禁)をおこすというわけではありませんが、多くのひとがUUI(切迫性尿失禁)に悩んでいることがわかっています。 過活動膀胱には、突然がまんできないような強い尿意を感じる症状があり、これを「尿意切迫感」といいます。このとき、トイレに間に合わずもらしてしまうのがUUI(切迫性尿失禁)です。 過活動膀胱に該当する40歳以上の男女で、週1回以上UUI(切迫性尿失禁)をおこすひとは、男性41.3%、女性63.9%でした。

    [図版]過活動膀胱※の症状がある女性のうち、週1回以上、UUIがある割合1)

    対象:全国の住民台帳から地区と都市規模で層別化した2段階抽出法で抽出した40歳以上の男女10,096例(解析対象4,570例)
    方法:排尿症状、QOL・影響度、医療経済・受診行動、基本的な特性の4部から成る質問票を郵送し、対象者の回答を解析した
    ※1日の排尿回数が8回以上、かつ、尿意切迫感が週1回以上を過活動膀胱とした
    1)日本排尿機能学会が実施した疫学調査(日本排尿機能学会誌14(2):266, 2003)[L20040317031]より作成
  3. Q 3UUI(切迫性尿失禁)をおこしてしまうひとはどれくらいいるのでしょうか?

    A 3

    0歳以上の男女で、週1回以上UUI(切迫性尿失禁)をおこすひとは8.9%(男性7.3%、女性10.0%)、1日1回以上UUI(切迫性尿失禁)をおこすひとは5.3%(男性4.5%、女性5.7%)でした。
    つまり、40歳以上の女性であれば、10人に1人は週1回以上UUI(切迫性尿失禁)をおこしていることになります。

    [図版]尿失禁の頻度

    対象:全国の住民台帳から地区と都市規模で層別化した2段階抽出法で抽出した40歳以上の男女10,096例(解析対象4,570例)
    方法:排尿症状、QOL・影響度、医療経済・受診行動、基本的な特性の4部から成る質問票を郵送し、対象者の回答を解析した
    ※腹圧性尿失禁についてはQ4で解説しています。
    日本排尿機能学会が実施した疫学調査(日本排尿機能学会誌14(2):266, 2003)[L20040317031]より作成
  4. Q 4男性と女性、どちらに多い症状ですか?

    A 4

    一般的に、おしっこやトイレに関するトラブルは女性に多いと思われがちですが、過活動膀胱の患者さんは50歳以上での割合は、男性のほうがわずかに高いという結果でした。ただし全体としてみると、男女に関係なく発症しており、年齢が高くなるにつれて患者さんの割合が増える傾向にあります。
    また、排尿トラブルは基本的に男性の方が割合が高い傾向だったものの、UUI(切迫性尿失禁)と腹圧性尿失禁に関しては女性の方が割合が高いことがわかりました。

    [図版]日本における過活動膀胱患者さんの割合(年齢別)

    対象・方法はQ2に記載
    日本排尿機能学会が実施した疫学調査(日本排尿機能学会誌14(2):266, 2003[L20040317031]より作成
  5. Q 5出産とUUI(切迫性尿失禁)は関係がありますか?

    A 5

    出産の直後や出産回数が多いと、尿道を締める筋肉がゆるみやすくなり、トイレに間に合わず尿もれしてしまうことがあります。これは「腹圧性尿失禁」と呼ばれ、UUI(切迫性尿失禁)とは別の症状です。ただし、腹圧性尿失禁であっても、過活動膀胱を合併していて、急に尿意を感じたトイレががまんできないなど、UUI(切迫性尿失禁)の症状がある場合もあります。

  6. Q 6過活動膀胱の薬物療法について詳しく教えて下さい。

    A 6

    過活動膀胱の薬物療法では、「抗コリン薬」が主に使われます。
    過活動膀胱では、過剰に発現しているアセチルコリンにより、異常な膀胱の収縮が起こります。「抗コリン薬」にはいくつか種類がありますが、いずれもアセチルコリンの働きを抑えることで、膀胱の収縮を抑えて、たくさんの尿をためられるようになります。副作用としては、口が渇く、尿が出にくくなる、便秘、発汗などが知られています。
    「β3アドレナリン受容体作動薬」は、膀胱の筋肉をゆるめて尿をためられるようにするお薬です。副作用としては、尿が出ない、尿が出にくくなることなどが知られています。
    前立腺肥大症を伴う男性の過活動膀胱の患者さんには、多くの場合、まずα1ブロッカーなどの前立腺肥大症の薬が処方されます。それでも過活動膀胱の症状が良くならないときは、抗コリン薬を処方される場合もあります。抗コリン薬とα1ブロッカーなどが一緒に処方されることもあります。
    薬を服用していて気になる症状が出た場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

    抗コリン薬の役割

  7. Q 7症状が改善されたら、薬をのむのをやめていいですか?

    A 7

    UUI(切迫性尿失禁)などの症状が改善しても、薬をやめるかどうかは自分で勝手に判断せず、必ず医師に相談してください。また、副作用が出た場合も必ずお医者さんに相談してください。これは、過活動膀胱に限らず、どの病気の薬でも同じです。
    薬は患者さんそれぞれに合わせて処方されていますので、たとえ似たような症状の方がいたとしても、他の人に自分のお薬を渡すようなことは決してしないでください。

  8. Q 8UUI(切迫性尿失禁)を避けるために、水分は控えたほうがいいのでしょうか?

    A 8

    適度に水分を摂ることは重要です。
    体重60kgの方では、1日約2.5リットルの水分が必要とされています。このなかには、食事に含まれる水分も入っていますし、体内で作られる水分も含まれますので、直接、水分として摂るのはおよそ1.2リットルが目安とされています。

  9. Q 8UUI(切迫性尿失禁)をおこしやすい食べものはありますか?

    A 8

    カリウムを多く含む食べものや、水分量が多い食べものは、排尿の回数を増やす可能性があります。
    また、身体を冷やすと言われるような食べものを多く摂りすぎないこともポイントです。
    個人差はありますが、基本的に体を冷やす食べものは頻尿やUUI(切迫性尿失禁)といった症状を悪化させてしまう可能性があります。