UUIは切迫性尿失禁のことです。切迫性尿失禁を英語で“Urgency Urinary Incontinence”といい、その頭文字をとった言葉がUUIです。
UUIとは突然強い尿意を感じ、トイレに間に合わなくなる症状のことで、過活動膀胱のおもな症状のひとつです。
過活動膀胱は尿意切迫感(急に起こる、抑えられないような強い尿意で、がまんすることが難しいもの)を必須症状とした症状症候群です。
過活動膀胱の主な症状は以下の通りです。
過活動膀胱なら必ずUUIをおこすというわけではありませんが、多くのひとがUUIに悩んでいることがわかっています。
過活動膀胱には、突然がまんできないような強い尿意を感じる症状があり、これを「尿意切迫感」といいます。このとき、トイレに間に合わずもらしてしまうのがUUI(切迫性尿失禁)です。
過活動膀胱に該当する40歳以上の男女で、週1回以上UUIをおこすひとは、男性41.3%、女性63.9%でした。
尿失禁にはUUI(切迫性尿失禁)のほかに「腹圧性尿失禁」があります。
咳やくしゃみをしたり、重い荷物を持ちあげるなどしてお腹に圧力がかかったときに尿もれしてしまう症状です。中高年の女性に多くみられる症状で、骨盤底筋が弱くなったり傷んだりして、尿道の「締まり」が悪くなっておこります。
UUIと「腹圧性尿失禁」が混合した「混合性尿失禁」もあります。尿失禁は背景にさまざまな病気が隠れていたり、膀胱炎など別の病気の原因になったりするので、早めに医師に相談して治療するようにしましょう。
UUI(切迫性尿失禁)の原因となる過活動膀胱は、膀胱に尿をためる機能が何らかの原因によって障害されておこります。その原因としては、
に分けられます。原因がはっきりしている場合もありますが、検査をしても異常が見つからないなど、原因がはっきりしない場合も多くあります。
| 神経が原因と考えられるもの | ・脳の障害(脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、パーキンソン病 など) ・脊髄の障害(脊髄損傷、多発性硬化症 など) など |
|---|---|
| 神経以外が原因と考えられるもの | ・膀胱の血流障害 ・自律神経の亢進 ・膀胱の加齢 ・膀胱の炎症 ・前立腺肥大症(男性) |
一般的に、おしっこやトイレに関するトラブルは女性に多いと思われがちですが、過活動膀胱の患者さんは50歳以上での割合は、男性のほうがわずかに高いという結果でした。ただし全体としてみると、男女に関係なく発症しており、年齢が高くなるにつれて患者さんの割合が増える傾向にあります。
また、排尿トラブルは基本的に男性の方が割合が高い傾向だったものの、UUI(切迫性尿失禁)と腹圧性尿失禁に関しては女性の方が割合が高いことがわかりました。
病院に行くと、まず問診と検査を行い、症状の程度や過活動膀胱の原因、さらにその他の病気が含まれていないかを調べます。初診のときに聞かれる基本的な情報は、
などです。これらは事前にメモしておくとよいでしょう。
以前にかかった病気や障害が、過活動膀胱の原因になっている可能性もあります。
また、頻尿や尿失禁(尿もれ)がいつから始まったのか、どんなときに起こるのか、今はどんな状態なのかなど、症状についてもメモしてまとめておきましょう。
過活動膀胱の治療には、おもに薬物療法と行動療法があります。
薬物療法では、膀胱の勝手な収縮を抑える働きのある「抗コリン薬」や「β3アドレナリン受容体作動薬」が主に使われます。抗コリン薬は膀胱の収縮を抑え、たくさんの尿をためられるようにします。β3アドレナリン受容体作動薬は膀胱の筋肉をゆるめて、尿をためられるようします。
行動療法には、生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋体操などの理学療法があります。
| 薬物療法 | 抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬が主に使われている。 |
|---|---|
| 行動療法 | 生活指導(過剰な水分、アルコールやカフェインの摂取を制限する。環境整備:トイレが近い生活空間を構築する。着脱しやすい服装をするなど。) 膀胱訓練(尿意を感じでも、トイレに行くのを少しだけがまんする訓練。) 骨盤底筋体操などの理学療法 |
過活動膀胱の薬物療法では、「抗コリン薬」や「β3アドレナリン受容体作動薬」が主に使われます。
過活動膀胱では、過剰に発現しているアセチルコリンにより、異常な膀胱の収縮が起こります。「抗コリン薬」にはいくつか種類がありますが、いずれもアセチルコリンの働きを抑えることで、膀胱の収縮を抑えて、たくさんの尿をためられるようになります。副作用としては、口が渇く、尿が出にくくなる、便秘、発汗などが知られています。
「β3アドレナリン受容体作動薬」は、膀胱の筋肉をゆるめて尿をためられるようにするお薬です。副作用としては、尿が出ない、尿が出にくくなることなどが知られています。
前立腺肥大症を伴う男性の過活動膀胱の患者さんには、多くの場合、まずα1ブロッカーという前立腺肥大症の薬が処方されます。それでも過活動膀胱の症状が良くならないときは、抗コリン薬を処方される場合もあります。抗コリン薬とα1ブロッカーが一緒に処方されることもあります。
薬を服用していて気になる症状が出た場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
過活動膀胱の治療は薬物療法が中心ですが、患者さんの症状を改善するために、薬物療法以外にも「生活指導」「膀胱訓練」「理学療法」などの指導や治療が行われる場合があります。
| 生活指導 |
・過剰な水分、アルコールやカフェインの摂取を制限する ・環境整備:トイレが近い生活空間を構築する ・着脱しやすい服装をする など |
|---|---|
| 膀胱訓練 | ・排尿をしたくなっても少しだけがまんする練習をして、排尿間隔を少しずつ長くしていき、がまんできる間隔を広げていく訓練 |
| 理学療法 | ・骨盤底筋体操など |
骨盤底筋体操では、肛門と膣をゆっくり締めて5つ数えて、また締めなおすことを繰り返します。最初から無理はしないで、できるだけ根気よく繰り返しましょう。筋肉が強くなれば、長く締め続けることができるようになります。ここで紹介するポーズで行うと、骨盤底筋の場所が自覚しやすく、効果的に筋肉を鍛えることができます。
あおむけに寝て足を肩幅に開きます。
そして、両膝を立てて体の力を抜き、肛門と膣を締めます。
締めたままゆっくり5つ数えたら、力を抜き、また締めなおしましょう。
この動作をできるだけ繰り返してください。
床に膝をつき、クッションなどの上にひじを立て、手に頭を乗せます。
この姿勢で、肛門と膣を締めます。
締めたままゆっくり5つ数えたら力を抜き、また締めなおしましょう。
この動作をできるだけ繰り返してください。
骨盤底筋を意識して、正しい筋肉を使って鍛えるのが骨盤底筋体操を効果的に行うポイントです。また、効果が出るには約3ヵ月かかると言われていますので、気長に続けましょう。
トイレをできるだけがまんして排尿の間隔をのばし、膀胱に尿をためられる状態にもどすトレーニングです。
医師から膀胱訓練を指導された場合は、どのくらいの間隔で、どのくらいの量を排尿しているのかを把握するために、毎日、排尿日誌をつけるようにしましょう。尿量や回数をつけていくことで、訓練の効果がわかります。初めのうちは5分位を目安にして徐々に10分、15分とがまんする時間を長くしていきます。
できるだけリラックスした環境で行うほうがよいので、まずは自宅のトイレから始めましょう。膀胱訓練は1日1〜2回でも十分に効果があるといわれています。
膀胱訓練のポイントは次のとおりです。
排尿日誌は、自分の症状や排尿の状態を正確に知るためつける記録です。トイレに行った回数、尿の量、急に起こるがまんできないような強い尿意(尿意切迫感)を感じた回数、尿をもらしてしまった回数のほか、摂取した水分の量を記録しておくことで、客観的に排尿の状態をチェックすることができます。
排尿日誌に記入する内容
腎臓でつくられた尿は、尿管を通って運ばれ膀胱にたまります。膀胱はよく伸び縮みする筋肉でできており、尿がからっぽのときはしぼんだ袋状で、いっぱいになると丸く脹らみ、尿をためることができます。個人差はありますが、がまんすれば尿を600cc(0.6リットル)ぐらいためることも可能です。
膀胱におしっこが半分くらいたまると、筋肉が圧力を感じて、その信号が脳に伝わります。ここで尿意を感じ「トイレに行きたい」という気持ちになります。そして、脳が「排尿をする」か「がまんするか」を判断し、膀胱と尿道に伝えます。
脳が排尿すると判断すると、その指令によって、蛇口の役目をする尿道括約筋がゆるんで尿道を開き、同時に膀胱の排尿筋が収縮し、ポンプのような働きをして尿を排泄します。