頻尿にはさまざまな原因があった!症状にあわせた対処法を実践しよう

「さっきトイレに行ったばかりなのに、またトイレに行きたい」「夜中に何度もトイレに行く」という方は頻尿の可能性があります。頻尿は日常生活に支障をきたすだけでなく、何かの疾患が原因で引き起こされていることがあります。そのため、頻尿の症状がある方は、医師に相談して、頻尿を引き起こしている原因を確かめましょう。こちらの記事では、そんな頻尿の具体的な症状やさまざまな原因、対処法をまとめました。まずは、頻尿とはどのようなものなのかを確認していきましょう。

頻尿の定義1)

頻尿とは、トイレが近く、排尿回数が多い症状のことを言います。正常の排尿回数は、1日に7回以下といわれています。1日の排尿回数が7回以下だとしても、自分自身で排尿回数が多いなと感じた場合も頻尿の可能性があります。正確な判定には排尿記録が必要です。

頻尿を引き起こす原因

頻尿は、さまざまな疾患や生活習慣が原因で引き起こされることがあります。

頻尿の原因となる疾患

何かしらの疾患を持っていることが原因で、頻尿を引き起こしている場合があります。そこで、頻尿が症状として現れる疾患をいくつかご紹介します。

  • 過活動膀胱

    過活動膀胱とは、尿がそれほど溜まっていないにも関わらず、膀胱が活動し過ぎてしまう疾患です。そのことによって、急に我慢できない尿意が起きたり、トイレが近くなったりします。 過活動膀胱の代表的な症状は、起きている間の排尿回数が8回以上ある「昼間頻尿」や夜中の排尿回数が1回以上ある「夜間頻尿」、尿意が急にきてしまい、尿を漏らしそうになってしまう「尿意切迫感」、急に尿意がきてトイレまで我慢ができずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」などがあります1)

  • 前立腺肥大症

    前立腺肥大症とは、膀胱の下にある前立腺が太く大きくなって、尿道を圧迫し、さまざまな排尿障害を引き起こす疾患です。前立腺肥大症は中高年男性に多くみられる症状で2)、詳細な原因はいまだに解明されていません。しかし、男性ホルモンの働きが何かしらの影響を与えている可能性があるといわれています。また、加齢とともに、男性ホルモンをはじめ、他の性ホルモンの環境が変化するので、前立腺が肥大すると考えられています3)

  • 心因性頻尿

    心因性頻尿は精神的な問題で頻尿になってしまう疾患です。ストレスや不安を抱えているときに頻尿を引き起こすことがあります。ただ、尿意を感じたとしても尿が全く出ない場合もあります。

  • 膀胱炎

    膀胱内に細菌が入ってしまい、炎症を起こす疾患です。疲れが溜まり免疫力が低下しているときや、妊娠・出産したときなどに膀胱炎は起こることがあります。膀胱炎の症状は頻尿や残尿感、排尿時の痛み、尿の変化(濁ったり、血が出たり)などがあります。女性に多く、再発しやすいという特徴があります。

  • 糖尿病

    糖尿病の方は血糖値が高いので、のどが渇きやすくなってしまいます。そのため、水分の摂取量が増えてしまい、頻尿になることがあります。また、血糖コントロールがうまくいかないと、腎臓が血液中のブドウ糖を体内の水分と一緒に尿として出そうとするため頻尿になることがあります。

  • 子宮筋腫

    子宮にできる良性腫瘍が、周囲の臓器に影響を与えることによって、頻尿を引き起こすことがあります。頻尿以外の症状としては、通常よりも強い生理痛、経血の増加などがあります。良性の腫瘍と言っても、不妊や流産の原因にもなることがあるので注意が必要です。

  • 骨盤臓器脱

    骨盤の中にある膀胱や直腸、子宮などの臓器が下がり、膣から出してしまう疾患です。膣に何かが挟まっている違和感や頻尿、尿もれといった症状があります。加齢や出産に伴う骨盤底筋の機能低下により、骨盤臓器脱が引き起こされることがあります。年齢を重ねると膀胱や腸、子宮などを支えている骨盤底筋が衰えてしまうのです。
    特に、出産を経験したことのある女性は、出産時に骨盤底筋を傷つけてしまったり伸ばしてしまったりすることがあるため、骨盤の中にある臓器を支えることができなくなり、骨盤臓器脱を引き起こしてしまうことがあります。また、骨盤底筋がゆるんでしまうと、尿道を締める力が弱まってトイレを我慢できなくなってしまうこともあります。

頻尿の原因になる生活習慣や状況

頻尿は体や精神の状態、普段の生活が原因で引き起こされることもあります。

  • 水分の摂りすぎ

    コーヒーや緑茶、豆乳、ビールといった利尿作用のある飲み物を摂取しすぎると頻尿になることがあります。利尿作用がない飲み物でも、飲みすぎてしまうと尿の量が増えて、頻尿になることがあります。

  • 緊張状態

    緊張していたり、不安を抱えていたりすると頻尿になることがあります。ただ、この場合の頻尿は誰もが経験することがあるので、特に気にする必要はありません。

  • 体温の低下

    体が冷えてしまうと、膀胱が刺激されて頻尿になる場合があります。また、冷たい水に触れたり、水が流れる音を聞いたりすると尿意を催すことがあります。

  • 加齢に伴う機能の低下

    年齢を重ねると、尿を濃縮するホルモンの分泌量が減少したり、膀胱が硬くなってしまったりするので、頻尿になることがあります。尿を濃縮できなくなると、必然的に尿の量が増えてしまいます。また、膀胱が硬くなってしまうと、尿を溜める量が少なくなってしまうのです。

頻尿の対処法

頻尿の対処法をご紹介します

病院できちんと診察を受けることが大切

頻尿にはさまざまな原因があるので、病院できちんと診察してもらうことが最も大切です。頻尿は日常生活に支障をきたすだけでなく、膀胱炎や糖尿病、子宮筋腫といった疾患のサインの可能性があります。そのため、早めに治療を行う必要があります。

日頃から行える頻尿の対処法

医師に診察してもらうことが最も確実ですが、日常生活でも頻尿に対処する方法がいくつかあるのでご紹介します。

  • 利尿作用がある飲み物を控える

    コーヒーやビール、お茶といった利尿作用のある飲み物を飲みすぎないように注意することが大切です。特に就寝前に利尿作用のある飲み物を控えることで、夜間頻尿を予防することが期待できます。

  • ストレスを溜めないようにする

    緊張してしまった場合は、深呼吸や軽い運動、面白い動画を見るなど、できるだけ緊張を和らげるのがおすすめです。また、ストレスが溜まっているときは、大声を出したり自分の好きなことをしたりすることでストレスを発散することが期待できます。

  • 外出時にトイレの位置を確認する

    トイレの位置を把握していないと不安に襲われることがあり、余計に尿意を催すことがあります。外出時には、どこにトイレがあるのかを確認しておくだけで安心できます。

  • 女性の場合は骨盤底筋を鍛える

    骨盤底筋が鍛えられると、尿道を締める力が強くなるので尿を我慢する時間が長くなります。そのため、肛門や膣を締めたりゆるめたりして、骨盤底筋を鍛え頻尿を防ぐようにするのも有効な対策です。

頻尿の原因や対処法を知ろう

頻尿の原因は、膀胱炎のような疾患であったり日常生活から引き起こされるものだったりします。原因によって、対処法もさまざまなので、まずは医師に相談することをおすすめします。
また、病院に行く際は、問診シートを持参するのもよいでしょう。問診シートとはいくつかの質問があり、自分の症状と当てはまるものにチェックするだけの簡単なシートです。問診シートを持っていくことで、症状を口頭で説明する必要がなくなります。下記のリンクで問診シートを確認してみてください。

<参考文献>

1) 日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会 編:過活動膀胱診療ガイドライン第2版 リッチヒルメディカル株式会社: 7-8, 2015
2) 日本泌尿器学会 編: 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン リッチヒルメディカル株式会社: 51, 2017
3) 日本泌尿器学会 編: 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン リッチヒルメディカル株式会社: 52, 2017